堀裕子「ぴーぴーかんかん?」
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23:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:06:16.85 ID:YBAOIjLn0
藤井のその言葉は正直、思い当たる節が無い訳では無かった。
初対面の時から既にあっちは俺の事を下の名前呼びだったし、俺の「堀さん」って呼び方も
「私の事はユッコと呼んでください!是非!」でとうに押し切られてしまっていたから。

「まぁそんぐらいなら免疫のない男子が落ちるぐらいだろ、そんなに問題か?」
以下略 AAS



24:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:08:15.21 ID:YBAOIjLn0
ユッコには悪いけれどこれも思い当たる節しかなかった。
何と言うかこれは彼女を知っている人間なら分かると思うのだけれど
彼女の持つ雰囲気にはおおよそ知性を感じさせないそう言った物がある。
それに加えて実際にアホなのだから、藤井のその評価も妥当だと思えた。

以下略 AAS



25:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:09:11.21 ID:YBAOIjLn0
「だからよ、これは俺からのアドバイスだけど、もし少しでもあいつに興味があるならとっとと告白してさっさと振られた方が身のためだぞ」
藤井は手元のパンの最後の欠片を口元に放り投げてそう言った。
「余計なお世話だよ、別に興味もねぇし、そもそもお前も彼女いねぇのに何様だよ」
「るっせぇな、作ってないだけって何回も言ってんだろ」

以下略 AAS



26:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:10:21.59 ID:YBAOIjLn0
4.七月

 
俺と彼女が話すときは決まって時間は放課後だった。

以下略 AAS



27:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:56:24.14 ID:YBAOIjLn0
「そういえば今日の英語の小テスト大丈夫だったのか?」
彼女にオススメされたオカルト本をぱたんと閉じて、椅子に腰かけたまま向かいに座る彼女に声をかけてみる。
「ふふふ……イツキさん! よくぞ聞いてくれました……」
 彼女は言うが早いが読んでいた本を閉じて俺の方を向きなおした。聞いた俺が言うのもなんだけれどこれはいつものあれだと思った。彼女のスイッチが入る瞬間。
「実はですね……今回の英語の小テストなんですが私が言うのもあれなんですけど、イマイチ分からなかったんですよね」 
以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:57:13.29 ID:YBAOIjLn0
 彼女はいつもの調子でそんな事を言った。自分でも気づかない間に、俺はいつの間にかこの部活の副部長になっていたらしい。
「うーん……テレパシーで他の人から答えを教えてもらったとか?」
 適当に答えてみる。結局のところ俺にはサイキックなんて分かりようもないし考えるだけ無駄だと思ったから。
「むむむっ!違います! それにサイキック能力を悪事に活用するなんてもっての外ですよ! 不正はいつかバレますからね!」

以下略 AAS



29:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:58:05.26 ID:YBAOIjLn0
図書室には古紙にインクが張り付いたどこか懐かしい匂いが漂っている。
悪く言えば古臭い匂いとも言うけれど何だかんだ俺はこの匂いと言うか、この世界を満たす空気が好きだった。
かつての校舎の名残。目新しい本なんてここ数年は取り扱っていないから、いい加減に並び順と内容を覚えてきた小説群や
馬鹿の一つ覚えみたいに並べられた学術書、均等に並べられた机、恐らく彼女しか触っていない超能力関連の本に
窓から射す夕焼け、吹奏楽部の演奏。


30:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:58:47.51 ID:YBAOIjLn0
正直こんなことを言ってしまうのは凄く俺らしくもないんだけれども、彼女と話す時間は楽しかった。
初めはジャンケンに負けて、嫌々ながら決まったこの役割だったけど今となっては別に悪くもないのかなと思う。
一週間に一度、掃除のために訪れていたこの図書館も気づけば三日に一度、二日に一度になって
今となっては放課後になる度に通うようになっていた。

以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:59:27.60 ID:YBAOIjLn0
「あれ?イツキさん笑ってます?」
 彼女が言う。普段はアホ面晒してるだけなのに、こう言う所だけは無駄に察しが良い。なんて言うか人の気持ちを汲み取る能力に長けてるというか。
「笑ってない」
「隠さなくても大丈夫ですよ! 私はサイキッカーで全部お見通しですから!」
「……自販機で飲み物買ってくる」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2021/06/24(木) 00:00:01.84 ID:I9OmqLYR0
図書室から廊下へ出ると、そこは紫と赤色をぐちゃぐちゃに混ぜた絵の具みたいな色に染まっていた。窓から零れた光が廊下に反射している。
「おー」
思わず窓へ近づく。外はパレット色に染まっていた。一日を一塊にしたみたいな色の空。

「わぁ綺麗……ですね」
以下略 AAS



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