15: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:15:06.64 ID:Rn+1RG8T0
「劇場のこと、アイドルのこと、仲間のこと、いろんな可能性を見つけて、いろんな可能性を表現してくれるの」
ロコにとってアイドルとは刺激であり、手段であり、味方だった。そして劇場はそれら全てを与えてくれる大切な場所だった。用が無くても劇場に通い、わざわざ道具も揃っていない劇場で創作活動を始めてしまうのはそういった理由もあるのだろう。また、劇場で何か企画を行う時には自分が出演しなくても積極的に参加していたし、増築計画が出た時なんて専門業者の会議にも口出ししてきたくらいだ。
39プロジェクトの発表からファンが増えていくにつれ、劇場はどんどん手狭になっていき、外での活動の機会も増えていった。そんな中でもアイドルたちは、劇場だからこそ出来ること、劇場だからこそやりたいことを考えて、行動してくれていた。それは哀れみではなく、皆がそうしたいと思ってのことだった。
16: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:16:10.41 ID:Rn+1RG8T0
「……だから、ロコちゃんが『シアターをムービングすればいいんです!』って言ってくれた時、ちょっと嬉しくて、気が抜けちゃったのかも……って、結局わたしの我儘だったみたい」
「……あぁ、そういえばあの時、誰も劇場を移動させることに疑問を持たなかったもんな。あのタイミングでげき子が現れたのか」
「恥ずかしいからこの話はおしまい。今晩にでも忘れさせても良いんだけど、また聞かれたら嫌だからライブ終わりまでオマケしておくわ」
「いや、でもそうなると」
17: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:18:51.74 ID:Rn+1RG8T0
その後、夜もどっぷりと更けた頃。
「……星がよく見えるね」
「ゲキコ。明日もアーリーなんですから、しっかりレストしてください」
18: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:19:31.37 ID:Rn+1RG8T0
「私もたまにはこっちで寝ようかな」
「ちゃんと休めないならノーグッドですよ?」
「大丈夫。お布団借りるね。ロコちゃん、一緒に寝よう?」
「仕方ないですね。なんだか今日のゲキコはベイビーみたいです」
19: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:20:54.26 ID:Rn+1RG8T0
朝四時ごろ、げき子は何かが動く気配を感じて目を覚ました。すぐ横の枕には既にロコの姿は無かった。
眠たい目を擦りながら顔を上げると、白み始めた空が映る大窓の前でロコが筆を走らせていた。白い太陽を映す湖面と朝露に濡れる草原、遮るものが何もない大きく開けた空。そして湖のすぐ横に聳え立つ大きな城。
「あれ、これって……」
20: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:21:35.88 ID:Rn+1RG8T0
湖の横にある城にも時間ごとに色が足され、初めは想像もつかなかったような表情が見えてくる。写真だったらこうはならない。ロコの頭の中に広がる様々な劇場の色。
約二時間半、ロコは一心不乱に描き続け、ようやく筆をおいた。
あとは手直しすれば完成らしく、そろそろ出発しても大丈夫。ということをげき子に伝えながら、ロコは大きな欠伸を拵えた。
21: ◆ivbWs9E0to[sage]
2021/06/12(土) 17:22:20.33 ID:Rn+1RG8T0
おわりです。HTML依頼出してきます。
げき子かわいいよげき子。
22:名無しNIPPER[sage]
2021/06/12(土) 18:00:31.80 ID:IWC7MtyDO
……フォートレスマキシマスみたいなもんかな?さっぱり想像がつかない
23: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2021/06/12(土) 23:16:38.58 ID:WG44Vjtt0
劇場が又すごいことに....
乙です
>>4
ロコ(15) Vi/Fa
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