19: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/06/12(土) 17:20:54.26 ID:Rn+1RG8T0
朝四時ごろ、げき子は何かが動く気配を感じて目を覚ました。すぐ横の枕には既にロコの姿は無かった。
眠たい目を擦りながら顔を上げると、白み始めた空が映る大窓の前でロコが筆を走らせていた。白い太陽を映す湖面と朝露に濡れる草原、遮るものが何もない大きく開けた空。そして湖のすぐ横に聳え立つ大きな城。
「あれ、これって……」
「ノイジーでしたか、ソーリーです」
「いやそんなことは。あの、この構図って、外から見たの?」
「本当ならそうしたかったのですが、このゲキコはイマジネーションです」
「へぇ、凄いねロコちゃん」
ロコはふふんと一つ鼻を鳴らすと、再びキャンバスに色を重ねていった。
白、水色、青。目の前の景色は時間の経過でどんどん鮮やかになっていく。ロコはその様子を食い入るように見ながら、どんどん色を後から重ねていく。まるで一枚の絵の中に色んな時間を溜め込んでいるみたいだ。ドローイングがコンプリートするまでウェイトして欲しいので、ゲキコはもう少し寝ていて良いですよ、と告げられたが、げき子はもう少しこの絵を見ていたかった。
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