36: ◆Kg/mN/l4wC1M
2021/03/19(金) 12:30:42.43 ID:wEzeH4cQ0
僕の中で色々な記憶、思いが駆け巡った。
僕は公演へ来るたびに、彼女の色のサイリウムを掲げてた。
──『どうか、届きますように』って。
抱えた色々な思いが僕の心で溢れて、胸がいっぱいになった。
それと同時に、胸が鈍く痛んだ。
僕がこの街にいられるのは今日が最後なんだ、と。
思いが大きくなるたびに、そんな胸の綻びが大きくなっていく。
そしてとうとう、僕の心は決壊した。
今まで隠していた言葉が、勝手に声になって、僕の胸の奥から出ていく。
自分でも、もうどうにも止まらなかった。
合格した大学が地方で、関東から離れなくてはならないこと。
この街にいられるのが、今日が最後だということ。
そして、この劇場に来れる回数も減ってしまうかもしれないこと。
彼女は、そんな僕の話を、ただ静かに聞いていた。
僕の心は正直だ。
……話すつもりなんてなかったのに。
本当は別の事を言おうとしたのに。
こんなことを彼女に伝えても、彼女を悲しませてしまうだけだって分かっていた。
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