8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/02/20(土) 21:23:16.21 ID:sqwkfqcmO
「待っていたのはあんただけじゃない」
空銀子はまるで忠告するかのように告げる。
「下界に降りた竜王を捕らえようとしている輩は大勢居る。だから、油断しないで」
自分が言いたいことだけを言いたい放題言って、空銀子は伝票を片手に席を立つ。
少し伸びた白い髪を目で追って、尋ねた。
「あなたは随分と余裕がないようね?」
「私には余裕なんて……最初からない」
空銀子は立ち止まらない。そのまま去る。
「あの女が私に助けを求めるなんて……」
空銀子は私に忠告した。油断するなと。
「竜王を捕らえようとする輩、ですって?」
カラカラに乾いた喉に、すっかりアイスが溶けたクリームソーダを流し込み、飲み干す。
今だけは、忠告に感謝して空"先生"と呼ぶ。
「いいわ。先生のお望み通り踊ってあげる」
何が理解者だ。私のほうがよほど理解者だ。
空銀子の唯一の理解者として踊ってやろう。
天から堕ちて弱った竜王に群がる捕獲者の群れを追い払ってやる。そうしたら、きっと。
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