9:名無しNIPPER[sage saga]
2021/02/20(土) 21:25:12.63 ID:sqwkfqcmO
「私は今とは違う私に……進化できる」
出来るだろうか。空銀子は可能だと言った。
接し方を変えて、違う関係性を築く。
無論、失望されない形に。強く、美しく。
「私も……空銀子"先生"のように」
無意識に呟いた言葉を認めたくない。嫌だ。なんで私があの女を目指さなければならないのか。あんな風にだけはなりたくないのに。
「ふん……八一にもわかる好意、ね」
果たして、あの空銀子にそれが出来るのか。
でも、どうだろう。空銀子だって、きっと。
今更弟弟子との関係性を変えることは出来ないと口にしていたあの女だって、仮にも恋人ならば鈍い八一にもわかるような好意を伝えている筈で、たとえば語尾にハートマークを付けるような真似をしている可能性もある。
甘ったるい声で好きと言って、擦り寄って。
空銀子に甘えられた八一がすぐにその気になってしまうことは想像に難くなく、それを良いことにあの女は私の八一を誘惑したのだ。
「わ、私だって、その気になれば……!」
「お嬢様」
悔しさから親指の爪を噛んでいる私に、ボディガードの晶がそっと声をかけてきた。
何を今更とは思うが、晶は晶なりに見守ってくれていたのだろう。だから私は咎めない。
10Res/10.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20