6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/02/20(土) 21:19:50.22 ID:sqwkfqcmO
「黒いの」
呼ばれて、再び視線を合わすと挑発された。
「このままでいいの?」
対する答えは沈黙。否。私は熟慮していた。
「あんたは八一と出会って日が浅いし、何よりまだ小学生じゃないの。変わるなら今よ」
甘い囁き。しかしこれが罠だと知っている。
「そしたらきっと私は先生に失望されるわ」
「八一は喜んでくれないと?」
「いいえ。私が甘えれば先生は喜ぶに決まってる。私を愛してくれる。でも、それで終わり。それ以上、私は強くなれないから……」
強くなれないと。成長が止まったらきっと。
「あの人はきっと……私に失望する」
仮に恋人になれたとしても、棋士としての繋がりを失えば、先生の家族にはなれない。
棋界という狭い世界以外では生きられない。
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