26: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:53:15.95 ID:ZnT9OyOd0
泉「亜子の思いつきや計画を、実際に数字にして補完するのが私の役割だと思ってる。だから、早めに教えて欲しい」
なるほど。いつだってそうだった。なにかを発案し「やろ!」言うんはアタシ、それを計算して足らない部分を補ってくれるのがいずみ、そしてそれを応援してくれるのがさくらというのがアタシたち流やった。
亜子「わかってるて。でもな、いずみやさくらに聞かせるにはまだ、準備が必要やねん」
27: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:55:08.92 ID:ZnT9OyOd0
あの中インハイ帰りにウチに来て以来、Pちゃんはおとなしかった。
クラスで会うても、挨拶ぐらいしかしない。
この人、ホンマにアタシのこと好きなんかいな? ちょっとそう思わへんこともなかったし、なんやこう胸がチリチリとしたのは確かやったけど、思い返してみるとこのPちゃんはずっとこうやった。
テストでトップになると言い、実際にトップになるまではアタシに何も言わへんかったし、全中で優勝するまでの1ヶ月もほとんど口もきかへんかった。
どうも彼は、アタシに大見得を切ったらその結果を出すまではアプローチはせえへんということらしい。
28: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:55:59.72 ID:ZnT9OyOd0
亜子「あ、や、な、なんでもあらへんから」
泉「もしかして、彼のこと?」
亜子「ちゃ、ちゃちゃちゃ、ちゃうで!?」
29: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:56:48.64 ID:ZnT9OyOd0
亜子「せやせや。あんな、いずみもさくらも歌うまかったやんか」
さくら「そぉかなあ。普通だと思うけど」
亜子「いや、ちょっとすごいな、て思ってんで。それに……」
30: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:57:35.90 ID:ZnT9OyOd0
泉「待って。そんなアイドルとか、私にできると思う?」
亜子「さっきも言うたやろ? いずみもさくらも、美人で可愛いし歌かて上手い。大丈夫やて」
さくら「アイドル……わたし、やってみたい」
31: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:58:32.50 ID:ZnT9OyOd0
さくら「3人でアイドルをやるんじゃないのぉ?」
亜子「アタシはほら、その……な?」
泉「なに? はっきり言ってよ。亜子らしくない」
32: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 11:00:49.53 ID:ZnT9OyOd0
亜子「と、ともかくや、アイドルいうんをちゃんと理解せんとな。宿題も片づいたし、確かそろそろ歌番組が……」
アタシがテレビをつけると、そこには意外な人物が映っていた。
アナウンサー「今日は中学生で起業し、既に年収250万円が見込まれるという学生実業家のP君にお話をうかがいます。よろしくお願いします、P君」
33: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 11:02:12.44 ID:ZnT9OyOd0
P「業務の内容としてはITに含まれますか。独自のものを売り出しています。いずれは年収も倍増していけたら、と思っています。社名のニューウエーブも、新しい並み起こしていきたいという意気込みから命名しました」
ニュース番組のいちコーナーであろうそのインタビューは、業務の内容や、その斬新さや業界でも評価されていると続き、最後はPちゃんが大写りになったが――
P「最後に、見ている? つち……」
34: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 11:03:10.48 ID:ZnT9OyOd0
泉「……ぷ」
さくら「あはははは」
泉「ご、ごめん亜子。そ、そんなつもりじゃないけど、ふふふ……あはははは」
35: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 11:03:53.40 ID:ZnT9OyOd0
それはホンマにカンニン。
しかし心底おかしそうな親友2人とは別に、アタシはちょっとだけ冷静になった。
2人が帰った後、アタシは鏡で自分の顔を見た。
亜子「そんな……エエかなあ? ま、そら自分のことブサイクやとは思わへんけど」
36: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 11:05:06.62 ID:ZnT9OyOd0
事ここに至って、アタシは自分のしてしまった事に責任を感じていた。
悪気はなかったとはいえ、1人の男の子をその気にさせてしまい、大変な苦労をさせてしまったのだ。
そしてなにより大事なことは、Pちゃんが本当に経済力を持ったことだった。
これでアタシがPちゃんとその……まあ、仮につき合うとすると、アタシはPちゃんのお金につられた事になるんやなかろうか。無論、お金は大事だから経済力のある男性に惹かれるのは当然かも知れないが、なんとなくこの場合はすっきりとしない。
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