【チェンソーマン】「租唖」についての授業を始めます
↓
1-
覧
板
20
1
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:19:00.96 ID:xv4bpZRfO
チェンソーマンのとある展開からヒントを得て書きました
SSWiki :
ss.vip2ch.com
2
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:20:10.19 ID:xv4bpZRfO
さて今日の社会科では、誰もが知っている「租唖(そあ)」について、改めてきちんと勉強しましょう。まず、以前に教えた「国民の三大義務」について皆さんは覚えていますか?
今日は23日ですから、23番の田中君に答えてもらいましょう――いえ、失礼しました、田中君は今日は「租唖の日」なんですね。出席簿を見ていたので田中君の「租唖マスク」が目に入りませんでした。決して田中君に脱唖(だつあ)を促したわけではないので、先生のことを通報しないでくださいね。では田中君の代わりに、後ろの席の安達さん――はいもうチャイムは鳴りましたよ、おしゃべりはやめる。では安達さん、答えてください。
以下略
AAS
3
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:22:02.56 ID:xv4bpZRfO
――そうですね、「勤労の義務」「納税の義務」「子供に普通教育を受けさせる義務」の三つです。
ありがとうございます。大人になったら皆さんは、国のためにきちんと働いてきちんと税を納め、子供が出来たらしっかりと学校に通わせなければなりません。
そして租唖はこのうち「納税」に少しだけ近い性質を持つものです。
祖唖。難しい字ですね。「唖」は、差別的な意味合いを含むので単独であまり用いてはいけないとされている字ですが、言葉が話せないこと、言葉が話せない人をさします。
以下略
AAS
4
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:23:16.81 ID:xv4bpZRfO
「租」は「税」と同じような意味の字として今も使われています。ただし現代ではもちろん、お米や布を税として納める国はまずありません。
「地租改正」という言葉も歴史の教科書の後ろの方に出てきますが、今はお米の代わりにお金を国に納めることになっています。
……山田君、なんですか、「生ゴミのカタマリ」?正しくは中臣鎌足ですよ、テストで書いたらバツにしますからね。それと、挙手をしない授業中の勝手な発言は懲罰対象ですよ。中学校には、先生みたいな甘い先生はいませんから気を付けてくださいね。
5
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:24:49.31 ID:xv4bpZRfO
――話がそれました。そして「租唖」はこの少し後の時期に、やはり唐から取り入れられた制度です。都では、どの人も何日かにいっぺんは、公の場で言葉を発してはいけない、自分の気持ちを詠んだ歌を人に見せてはいけない、そんな日が設けられることになったのです。
租唖の日には、言葉とは天に与えられたもので、天子に許されて使用できるものである、そのことを人々はいまいちど胸に刻みこんだことでしょう。
……ええ、驚くことに、それまで我が国では租唖の制度はなかったのです。文明があまり発展していませんでしたし、人もあまり密集してはいなかったので、それでもうまく回っていけたのです。
以下略
AAS
6
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:27:00.69 ID:xv4bpZRfO
では、当たり前すぎて考えることがなかったかもしれませんが、なぜ租唖という制度はあるのでしょうか?租税がない国が存在しないのと同様に、現代の地球で租唖がない国はまずありません。そして租税は「お金」に絡みますが、租唖は「言葉」に絡みます。
「お金」も「言葉」も、動物にはない人間独自のものであり、他の人や社会に大きな影響を及ぼすものでもあり、だからこそ慎重に取り扱う必要があるのです。国が言葉を適切に「管理」し「集め」て「分配」する必要があるのです。
なぜ租唖があるのかを考えるために、逆に租唖がなかったらどうなるかを考えてみましょう。
つまり、みんながいつも好き勝手に話したいことを話したら、好き勝手に書き散らかしたものを見せびらかして教室の壁に貼り付けたら、いったい世界はどうなってしまうでしょうか?
以下略
AAS
7
:
名無しNIPPER
2021/01/04(月) 22:28:18.27 ID:xv4bpZRfO
言葉が変わること自体は悪いことではありません。しかし、周りが下品な言葉ばかり話していては、自分もどんどん影響されていって、やがては皆が下品な言葉しか使えなくなってしまうでしょう。文章についても同じです。売られる本はやがて、「人の命を永久にこの世界に戻ってこれなくするような行い」「依存性を持ち人の心身に著しい回復不能な傷を残してしまうような化学物質」について書かれた、美しくない本で溢れかえってしまうことでしょう。
内容が美しく正しいものだったとしても、読みにくく文法がめちゃくちゃな本が混ざるのを許してしまっていては、やはりどんどん読みにくい本が増えていってしまうでしょう。読みやすく整った文章を書くのは難しく、整った文章を沢山読んで、沢山書いて、初めてできるようになるからです。
そして、人々が言葉を好き勝手に使っては、社会もひどいことになってしまいますね。子が親に、生徒が先生に、身分が卑しい人が高貴な人に、民衆が政をとり行う方々に、あれこれ勝手にダメ出ししてはどうなるでしょう?社会の秩序はめちゃくちゃになってしまいますね。
「言葉」の持つ力は、とてもとても大きなものです。私は今こうやって教壇に立ち、皆さんに授業をしていますが、これは私が「教員免許」を持っているから許されることなのです。免許もないのに、でたらめなことを勝手に教えてしまっては皆さんにとっては大迷惑ですよね。
以下略
AAS
21Res/17.16 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
書[5]
板[3]
1-[1]
l20
【チェンソーマン】「租唖」についての授業を始めます-SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1609766340/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice