30: ◆3m7fPOKMbo[sage]
2020/12/30(水) 11:13:16.28 ID:idrw2zS50
善子(いいえ、今はそんな事をしている場合ではない)
ルビィ「善子ちゃん!? 善子ちゃん…花丸ちゃんが!」
善子「ルビィ! ずら丸はダイヤと中にいるのね? よいしょっと」
ルビィ「善子ちゃん、そのトランクは…?」
善子「えーと…あった。まずは、この水を飲んで」
ルビィ「う、うん。ぬ、ぬるそうだね…」
善子「我慢しなさい。それと、皆が着たらすぐにここを離れるのよ。そうね…マリーと果南と一緒に逃げなさい」
ルビィ「善子ちゃんはどうするの?」
善子「大丈夫。二人を連れてすぐ戻るわ」
善子(ロザリオを握り、本を手に、突き刺さるほどの寒さと獣のにおいが充満する中へと、足を踏み入れる)
ルビィ「んくっ…こくっ……ぬるい」
善子(ルビィは聖水を飲み干したようだ。問題は乱気流のせいで聖水の瓶もあらかた割れてしまい、2本しか生き残らなかった。その貴重な1本をまるまるルビィに使った事だが)
善子(しかし、運の良い事に結界が中に貼られていた。ルビィが中に入らなければ心配いらない。貴重な1本まるまる使ったのは失策かも知れない)
善子(だが…それより…獣臭さの中に)
???「いらっしゃい」
善子(何度か足を踏み入れた黒澤家の居間でもある和室に、奴はいた)
善子(顔中腫れあがり、手のあちこちから血を滴らせたずら丸の横に)
善子(怒りで我を忘れそうになるのを堪え、ずら丸に視線を向ける。ずら丸は私に気付いていない)
善子(息を、している。生きている。私やルビィの親友を傷つけ、そしてダイヤの身体を使ってそんな事をさせた奴を)
ダイヤ?「あれー? あれれー?」
善子(許すわけにはいかない。ロザリオをつかんで、大きく十字を切った)
ダイヤ?「お覚えがあるちゅんなぁ……ああ、そうだ」
善子(悪魔はあおり、騙し、混乱させる。耳を貸してはいけない。本を開いて、読み上げる)
善子(主への祈りを、救済を祈り、ただ一心にダイヤから目を離さずに)
ダイヤ?「いつかの泣きべそかいておもらししちゃってぇ。『おじいちゃんを食べないでぇ』とか言ってた子かなぁ?」
善子「主よ…」ピキッ
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