高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/25(金) 20:46:07.30 ID:mOMWMpAw0
「あたっ」
「加蓮ちゃんは、本当、すぐに自分の世界に入っちゃうんだから。藍子ちゃんも、苦労させられてるんじゃない?」
「……はいっ。実は、そうなんです。加蓮ちゃん、いつもマイペースで、自分の世界を大切にしていて――」
「それは藍子でしょうがっ」

なんて、いつもの調子で言っちゃったら、暖炉に頭を半分ほど入ってたそーちゃんがビクッてなっちゃった。

「っと。……それはいつもの藍子でしょ」
「えへっ。そんな加蓮ちゃんと一緒にいるのが、好きなんです」
「そう――」

後半は、看護師さんへと向けられた言葉。確認かもしれないし、独り言のようなものかもしれない。
看護師さんはそれ以上、野暮な追及を続けたりはしなかった。
代わりに室内をゆっくりと見渡して――壁の角から天井の端、テーブルの色まで全部、見通すような目で。藍子が、少しだけ緊張に身を縮こませる。

「ごめんなさいね、そういうつもりではなくて……。これが加蓮ちゃんの好きな場所だなって、ちょっと思っただけなのよ」

私の好きな場所。藍子と穏やかな時間を過ごすカフェ。
……今でも当然、看護師さんを入れてあげるつもりなんてない。聖域に踏み入るなっ、なんて言葉は、決して全部が冗談という訳ではないのだから。
そんな意地が、つい、背中を押し出したいなんて天邪鬼な衝動を生み出す。
けどさすがに、看護師さんだけを冷たい冬の風景へ追いやったりはしなかった。

半分が模倣、半分が優しさ。
この世界にいさせてあげるのは、あくまでも藍子が作った場所だからね?


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