高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/25(金) 20:44:36.88 ID:mOMWMpAw0
住宅地をお散歩すれば10秒に1回くらいは発見できそうな、どこにでもある外観の建物。真っ白な壁と、私のスカートよりは少し甘みのかかった色のドア。そんな建物にも両側のちびっこ2人は歓声を合わせて、今から訪れるクリスマス・タイムに胸を高鳴らせる。
私も、少しだけ楽しみになってきちゃった。
藍子によると、びっくりするほどじゃないけど色々準備してるみたいだし?
何が待ってるのかな、って思うと、気付いたら私が先頭に立ってドアノブを回していた。

「あっ、かれんちゃんずるい! わたし、さきにいくっ!」
「…………」
「しろちゃんも、先に行きたいよねっ」
「は、はいっ。先に行きたい……!」
「じゃあいっしょに行こう! かれんちゃんも、いっしょだよ!」
「……ふふっ。私がズルいって話じゃなかったの?」

そーちゃんってば、私の前に回り込んで反対側のしろちゃんと手を繋ごうとして、そのまま後ろ歩きで建物に入ろうとするから、すごくおかしな格好になっちゃってる。
しかも途中で、あれっ? って首を傾げてるし。このままだと外を見ながら中に入ることになって、扉を開けた先に何が待っているのか見れないって気付いたんだろうね。
慌ててくるっと振り返って。転んだりしないで、ドアの隙間をひょいっとすり抜けていった。
どこかのドジな巫女さんなら、このタイミングで絶対足をもつれさせるんだろうなー、なんて思っちゃった。

「わーっ! すごいっ、すごいっ」

一足先に入っちゃったそーちゃんがぴょんぴょん跳ねてる。私としろちゃんも、手を繋ぎながら後に続く。

建物内は玄関とメインフロアが隔たり無く繋がり、そのワンフロアだけで構成されている状態だった。
最初に目に入ったのは、真正面のモミの木。デコレーションはされていないみたいで、まるで森からそのまま持ってきたような葉色が床の木目と相対している。
向かって左側にはどこか古めかしいレンガを積み重ねて作った暖炉と、薄橙色のマットレス。
右側には、こっちも床に直接座れる状態になっているスペースと、腰ほどの高さの長テーブルが横に2つ。それから、表紙に大きな一葉が描かれた小冊子が、これも2つ置いてある。1組分の座席の向こう、奥側の壁際にはキッチンと言うにはやや手狭なスペースと小さな戸棚、携帯冷蔵庫もあるみたい。シンクの無骨な銀色を目立たせないように、戸棚や冷蔵庫にはクリスマスカラーが着色されてあった。

そして、モミの木の隣に立ち、両手を前に合わせて深々とお辞儀をする1人の女の子――。


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