4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:15:19.17 ID:MFd4PAJFO
「歩くのが早すぎたか……?」
佐々木はあれでいて女生徒である。
俺の歩調に合わせると早歩きとなる。
ましてやくだらないサンタの設定に気を取られていたので、俺のほうが知らず知らずのうちにいつもよりも早く歩いていたのかも知れない。引き返すべきだろうか。いやしかし。
「ここで待つべきか……?」
帰り道の方向は同じ筈だから、待っていればどんなに鈍足でも佐々木は追いつくだろう。
だが、それはあまりにも薄情ではないか。
俺が心細いと感じているのと同様に、佐々木も同じ気持ちになっているのではないか。
そう考えると、居ても立ってもいられず。
「待ちたまえよ、キョン」
来た道とは逆から佐々木が俺を引き留める。
「佐々木、お前どこに……?」
「前方に自動販売機を見つけてね。君が寒そうだからご馳走してあげようと思ったのさ」
振り返った俺に、佐々木はいつになく申し訳なさそうな顔で温かい缶コーヒーを手渡す。
それを受け取りながら、必死に涙を堪えた。
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