3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:13:19.05 ID:MFd4PAJFO
「では君はサンタクロースがどんな魔法を扱えると想定している? 参考までに教えてくれ」
いったい何の参考にするつもりなのやら。
ともあれ、ここで出し惜しみをするほうが恥ずかしがっているように見えるのではないかと勘ぐった俺はサンタが扱える魔法について推察を述べた。
「まず大前提として、姿は消せるだろうな」
「赤い服は目立つだろうからね」
「あとは孫悟空並みの瞬間移動は必須だ」
「世界中の良い子の気を判別出来るわけか」
「そして人を信用させる服従の魔法」
「通報されることが前提なのが嘆かわしい」
サンタが持つであろう特殊技能を挙げるごとに、やはりこのじいさんは魔法使いに違いないと俺は確信を深めていた。するとふいに。
「佐々木……?」
すぐ隣を歩いていた筈の佐々木が居ない。
くつくつという笑い声だけが、耳の奥に残ってこだましている。慌てて、友の姿を探す。
「おーい、佐々木! どこにいる!?」
呼びかけた声は、虚しく夜空に消えた。
暗くて寒い夜道に取り残された俺は、迷子の子どものような気分となり途方に暮れた。
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