30:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:03:56.09 ID:uyzFntxd0
◇
昼前の商店街通りにもジングルベルが鳴り響いていた。
シャンシャンと降り注ぐ音たちを聞き、冷たい冬の風を切りながら、俺はマイママチャリのブラック・チェリー号――中学の友達がそう名付けてくれた――で颯爽とバイト先の中華料理屋に到着した。
世間一般はクリスマス。そりゃあ家庭を持っていたり恋人がいる人らにとっちゃあキリスト教徒に次いで大切な日かもしれないけれど、生憎哀れな仔ブタの俺にはまったく縁のない話だ。
クリスマスは美味しいものが食べられる日。それ以外に何がある、それだけでいいじゃないの。足るを知る……なんて素敵な言葉でしょうか。
そういうわけで、俺はバイトに勤しむ。
今日は大学生のにーちゃんはサークル仲間と完徹で麻雀、パートのおばちゃんは主婦仲間とカラオケ三昧……と、クリスマスをとことん楽しんでいるようだ。
なので今日のシフトは店長ことチョウさん、ぶーちゃんこと俺、そしてひと月前からここでバイトを始めた自称売れないミュージシャンな加藤さんの三人で回すことになっていた。
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