【オリジナル】クリスマス・ヒーロー
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29:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:02:42.89 ID:uyzFntxd0


   ◇


 季節は次々死んでいく、とどこかのアーティストが歌っていた。そのMVは生肉を貪り食う演出がなされていて、それを見たデブ友達が「流石に生肉はちょっと……」なんて言ったから、「それなら焼肉だ!」とふたりでお肉を食べに行ったのをふと思い出した。

 とにもかくにも時間は巡り巡る。何はともあれ月日は過ぎる。時計の秒針は止まりゃしないし地球はずっと回り続ける。

 豊橋とはなんだかんだで仲良くなっていた。

 最初こそは噂通りの神聖さを纏う近寄りがたいやつだと思っていたけれど、席が近くなって他愛のない話を交わすうちに、そんな印象はなくなっていた。

 今や豊橋という女子生徒は、俺の中じゃ天然でコミュ障で家族思いのいいやつという認識だ。朝の時間に彼女と下らないお喋りをするのが楽しいというくらいだ。

 学校外で会うことはないし互いの連絡先も知らないけれど、俺と豊橋はもう充分友達同士と言っていいような関係だった。もしかしたらあいつは俺のことを哀れな仔ブタとか食べ物の話ばっかりのデブと思っているだけかもしれないけれど、そんなことは知ったこっちゃない。

 持ちつ持たれつ、困ったときはお互い様。そこまで気兼ねしないで軽口を叩ける仲。

 友達というのはそういう存在だ。青春の友情というのはかくも美しい……なんてデブには似合わない言葉が口から零れ出そうなくらいにいいものだ。

 そうして時間は過ぎ、やがてカレンダーの日付はクリスマスへと変わっていった。




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