167:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:06:01.43 ID:tRJaplXx0
カップを傾けると――ちょっと傾け過ぎた――ざらざらした舌触りと共に、飲める分は終わりになった。底に残った粉の模様で占いを、というわけにはいかない。ちとせのように上手く未来を見ることも、見えたものを説明することも千夜には出来ない。
「きっといいものになるな。楽しみだよ」
代わりに見通したような言葉。
それを契機にまたゆるやかな沈黙が立ち込め、
「じゃ、杏行くね」と、カップが置かれた。「ごち。片すのよろです」
「やっとくよ。ほら、千夜のも…… いいからいいから」
「お帰りですか?」と頼子。
「まーね」
「ホー、こんな時間にとは感心だな。鍵はちゃんと返すんだぞ」
「げ、バレてた?」
「こないだ大騒ぎだったんだから。セイさんがさぁ」
「はいはい、杏も骨身に応えてまーす」
身体を伸ばしながら、妖精アイドルは部屋を出て行った。頼子が千夜と目を合わせる。
「それでは、私たちも……」
「はい」
「あ、待った」
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