白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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166:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:05:32.33 ID:tRJaplXx0
「悪魔で、地獄ね……」
 千夜は零して、カップを覗き込んだ。黒いのは、確かだ。表面の凹凸は泡や粉で出来ている、トルコ式ならではの見た目。しかし、これがもし十八世紀頃のエスプレッソだとして、タレーランには地獄の窯に見えたのだろうか? フランスの激動を生きた者ならではだろうか、感じ方というのは人それぞれであるものだ。

「これが悪魔だなんて。のんびり出来るのにな?」
「ほんとほんと。のんびり出来るのにね」
「時々し過ぎますね」千夜は水を飲んで、「特にお前たちは」

「まーま、本番前くらい一緒に骨を休めよーよ」
「杏さんは本番ではありませんがね」
「はは、いよいよ明後日だな。調子はどうなんだ?」
 彼が目を遣って、頼子がカップを置いた。
「これが面白いのですよ。特に志希さんと都ちゃん」

「ホー」
「志希さんは都ちゃんの自由さに合わせているのだと思ったら、いつの間にか操っている。都ちゃんは抜け出したと思ったら、今度は自分から志希さんの糸に絡まりに行って、逆に引っ張ってしまう…… ふふ、私、目が離せません」
「はは。へえ、面白いなあ。そうなの、千夜?」
「ええ、まあ。正直振り回されますが。純粋な癖に知略を好むから、あるいは賢い癖に無垢でいたがるから、軌道が無くなる」
「振り回されるの――」彼も微笑み、「好きだろ?」


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