168:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:07:43.61 ID:tRJaplXx0
彼の静止に、立ち上がったまま顔を向ける。
「千夜にちょっと羽織る衣装を試してもらいたいんだ。あんま時間は取らないけど」
「そうですか。ではもう少しゆっくりしていますね」
「いえ、待つには及びません。頼子さんは先に行っていて下さい」
「そう? それでは、美味しいコーヒータイムをご馳走様でした」
頼子も去り、元から静かではあったが、部屋に二人となる。
彼は隅の方で暫くごそごそやると、「ん?」だの「まいっか」だの、不安になる声を上げた後、煌びやかな衣装を手に戻って来た。
「衣装まで本番と同じにしての通し稽古、だからドレリハ――ドレスリハーサル――というんだが」
ショールのようだ。真紅のオーガンジーに、金糸の刺繍があしらわれている。
「これだけ細かい直しが必要で、明日のドレリハに間に合わないんだ。明日も形の似たものは使うけど、これで動き難かったりしないか、ちょっと試してみてくれよ」
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