144:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:48:22.35 ID:tRJaplXx0
「いいえ」かぶりを振る。都とは会わなかった。「そちらでも、まだ見つかっていないのですか」
「そうかぁ、白雪さんと一緒かもと思ったんだけど」
「都ちゃん、お稽古に来た志希さんと何か話した後、何処かへ行ってしまったんです」
「連絡は?」
「スマホが私服に入っていて……」
「よし、もう一回探してみよっか」
「はい、そうですね」
「あの」
手を挙げ、二人を止める。
「今度の事態は私の責任です。私が行きます」
「責任なんか。君たちの監督者は、ここではボクだよ?」
「いえ、やはり私に果たさせて下さい。やる必要がある、と思うのです。先生はご指導を」
「そう?」
「頼子さんも、どうぞ稽古を」
「ふふ、では、お願いしますね」
多少は反対される覚悟もあったが、二人ともすんなり受け入れてくれた。そういう空気、なのだろうと思う。
《志希さんと何か話した》という言葉に導かれ、花のような香辛料のような匂いを追って外へ出た。ちょっと振り返ると、相変わらず稽古を覗くようにした先生が呟いた。
「いやあ、いいなぁ。欲しいなぁ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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