1:伊丹 [age]
2020/11/21(土) 00:44:01.40 ID:F8D/mY4l0
「あっ莉緒!こっちこっち!」
待ち合わせの駅前で、探しビトは私を見つけるや否や、年甲斐もなく手をブンブン振って、ピョンピョン飛び跳ねてる。
昔からバタバタ騒がしい娘だったけど、全然変わらない。
だからあだ名は―――
「ちょっと、バタ子!あんまり大きな声で呼ばないでよ!一応私、芸能人!」
変装の為に付けたサングラスをくいっと上げて私はしかめ面を作る。
「あはは〜、そういやそうだったわね!
我が校が誇る"残念マドンナ"百瀬莉緒も、今や押しも押されぬアイドルであったなー」
白々しい。分かって言ってる!
でもすぐに笑顔が溢れてしまう。
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2:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:44:58.77 ID:F8D/mY4l0
大学時代の友達、バタ子。
卒業してからちょくちょく連絡はしてたけど、こうして会うのは久しぶり。
3:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:45:52.61 ID:F8D/mY4l0
もくもくと煙が充満する店内。
バタ子と私は、カウンターで肩を並べてる。
4:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:46:40.23 ID:F8D/mY4l0
「バタ子はどうなのよ。仕事。雑誌の編集なんて、忙しそうじゃない」
5:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:47:48.48 ID:F8D/mY4l0
「どこ行くのよ」
私の後ろを通り過ぎようとするバタ子。
6:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:48:54.52 ID:F8D/mY4l0
深く煙を吸って。
そして、溜まった鬱憤を一緒に吐き出すように、勢いよく煙を吐き出す。
7:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:49:58.09 ID:F8D/mY4l0
「ストレス、溜まるの?」
「あのね、莉緒。女がタバコ吸うキッカケは2つ。
8:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:51:34.27 ID:F8D/mY4l0
気まずそうに目を泳がせてから、ため息をついて話す。
9:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:53:22.19 ID:F8D/mY4l0
なんだか顔が火照ってくる。
お酒、回ってきたかな?
10:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:54:00.79 ID:F8D/mY4l0
バタ子は頬杖をついて、聞いてくる。
「……じゃあ、アンタさ。
私がなんで、先輩と同じ銘柄のタバコ吸ってるか、分かる?」
11:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:54:54.09 ID:F8D/mY4l0
◆
「あ、莉緒……」
12:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:58:03.07 ID:F8D/mY4l0
「ふぅー……莉緒。お疲れ」
タバコの煙を燻らせながら、そうポツリ。
13:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:59:08.34 ID:F8D/mY4l0
「正直、俺自身あまり好きな方じゃないから、吸いたくはないんだけどな。
完全に仕事道具さ。ひと箱を何ヶ月も保たせてたんだが、吸わなさすぎてシケってきちゃって。
14:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:59:36.60 ID:F8D/mY4l0
「いいわ。黙っててあげる」
「助かる!」
15:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:00:16.44 ID:F8D/mY4l0
◆
ある日。
16:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:01:02.83 ID:F8D/mY4l0
◇
17:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:01:42.37 ID:F8D/mY4l0
口に咥えたタバコに火を付けて、深く吸ったあと、口からゆっくりと吐き出す。
今回も、私に煙が掛からないように、上を向いて。
18:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:02:24.60 ID:F8D/mY4l0
前、バタ子に言われたことを思い出して、聞いてみる。
19:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:02:53.75 ID:F8D/mY4l0
バタ子が言っていたキッカケとは、違うのね。
私はバタ子が語った、女のタバコを吸うキッカケを彼に話す。
20:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:03:33.20 ID:F8D/mY4l0
「さ、もう日が暮れる。戻ろう」
彼はそう言って、丸イスから立ち上がる。
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