59:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:48:33.77 ID:FQVp12gN0
しばしの逡巡。ドキドキを隠せないまま、だけどライラは再び口を開いた。
「…………アイドルは皆をとりこにするもの、と教わりました」
「そうだね、キラキラした姿で魅了する存在だからね」
「それはプロデューサー殿にも、でしょうか」
「?」
言うが早いか、隣に向いて。
そっとつま先立ち、ひとつ。
彼の頬に触れた唇は、どこまでも熱くて。
澄んだ青碧の瞳の先に映るのは、今この瞬間のようで、明日への想いのようで。
えへへ、と恥ずかしそうに笑ってみせるライラ。
「あなたを魅了してやまない、すてきなライラさんでありますように」
月は煌々と輝いている。
「《ウヒッブカ》ですね。プロデューサー殿」
好き。ライク。お慕い。いろんな言葉が頭を巡って。とっさにライラの口から綴られた言葉は、わざと遠回りのメッセージ。でもそれこそが一番の表現かもしれない、なんて思いつつ。
今日という日はあと数時間。午前零時は越えないけれど。
シンデレラは時を越えて、魔法を越えて。
「―― アイスクリームは、好きですか?」
これもまた、千夜一夜の一欠片。
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