52:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:43:07.14 ID:FQVp12gN0
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ステージ裏。丁寧にお辞儀をするライラの様子をモニタで眺めながら、会場の盛り上がりを実感するスタッフたち。その中に、プロデューサーとエージェントの姿があった。
「これを、映像として」
「そうです。もちろん幾らか編集でまとめはしますけど。いい形で映っていることを願います」
そして、いい形で届くことも期待しています。そうプロデューサーは告げた。
「……今日のここまでの展開、あなたの想定通りのようで何よりです」
いや、これまでも含め、でしょうか。エージェントはつぶやいた。
「立て続けに三本のライブを、それも形式やテーマの違う形のものを入れていらっしゃったと聞きました。しかも三本目にこのような時間を設けて。メッセージも伝えて。ファンとの疎通もしてみせて。そしてこの盛り上がり。……ここまで計算されて?」
偶然ですよ、とプロデューサーは否定してみせた。
「綱渡りなことは多かったですし、今はまず、トラブルなどなく済んで一安心です」
それは嘘偽りない本音だった。
「……それに、彼女の成長も」
想定だって想像だって、遥かに越えていった。
まだまだ未熟なところはもちろんあるけれど。
それ以上に、本当に綺麗で、立派で、素敵な女性で。
いま、彼女はアイドルとして、人として、まっすぐに美しい。
それはプロデューサーの正直な気持ちだった。
「それに、まだライラのお国のみなさんへ説明せねばなりませんし」
「それはそうですね。……しかし」
そちらは焦らずとも、とエージェント。
「ここまでして頂けたのです。今度は私が、頑張ってみせる番でしょう」
そう言って、手元の資料の束を抱え直した。
「本国に見せるものはまた一度、きっちり詰めましょう。早急にまとめますのでご確認頂ければと思います」
「はい。こちらも映像の準備含め、急ぐようには致します。少しだけ時間はください」
「もちろんです。その間に、私もやれることを進めて参りますので」
一礼を交わす。
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