【ミリマス】ジュリアがメシマズ克服をPに思い知らせる話
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あんたを驚かせに来た 4/6
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2020/11/04(水) 00:04:09.42 ID:pA5LqmH70
劇場まで来た記者からの取材を受け終わってからの昼休み。アイドルになっている時のメイクも直さず、ジュリアは事務室の扉の前で立ち尽くしていた。入っていく姿を見かけた。出ていく姿は見ていない。必ず彼はここにいる。拳を形作って扉に手を伸ばしては手を引いて、そんな奇行をもう四回は繰り返している。
原因は二つあった。「ジュリアさんにとっての愛情表現とはどのようなものでしょうか」という記者の質問。それ自体には問題なく「情熱を燃やすこと」と用意しておいた通りに回答した。それだけならよかった。二人分の弁当箱を手から提げて持ち歩いている時に、あの暑い日に高校で見たあのカップルを思い出したのがいけなかった。本来脈絡の無い二つの事象が、ジュリアの内心で衝突し、脈絡のあるものへと、歪んだ変貌を遂げていた。
「……くそ。あのバカPだぞ。何を緊張してんだ」
色気を出しているつもりはない。特別に気を引こうだなんて思ってない。そうだ。そんな媚びた心理でわざわざ時間をかけたんじゃない。イタズラ心に近いかもしれない。そうだ。あたしはプロデューサーを驚かせて、いっちょ前に自炊できるようになったことを思い知らせてやるんだ。メシマズだなんてもう言わせない。内心の自分に向けてそう畳みかけたジュリアは、覚悟を決めてドアをノックした。
「あ、なんだ、ジュリアか。どうした?」
プロデューサーはいつものデスクにいて、顔をこちらに向けながら仕事の手を止めた。事務員の美咲は席を外しているのか、ここにはいない。何かの書類がデスクに積みあがっているのが部屋の入口からでも分かる。彼が暇そうにしている所を、ジュリアは見たことが無かった。
「あんたを驚かせに来たんだ」
「何だ、イタズラならさっき亜美真美にされたばっかりだぞ」
「あたしがイタズラなんかしに来るわけないだろ。それよりプロデューサー。メシ時だけど、腹減ってるか?」
「ん? 今からメシにしようかと思ってた所だ」
少し近づいて、彼の座る机を覗き込んでみると、カップ麺が机の上に置かれていた。その近くにはエナジードリンクの缶が立っている。
「それ……あんたの昼メシか?」
「ああ、そうだけど」
あっさりと答えたプロデューサーに、ジュリアは大きなため息をついた。
「あんたな……あたしには『ちょっとは自炊して、もっと色んなものを食え』って言ってる癖に、自分はこれかよ。呆れちまうぜ」
自分でも不愛想だと思いつつ、ジュリアは「ほらよ」と大きい方の紙袋を差し出した。
「……これは?」
「そのカップ麺よりはマシなものだよ。驚かせに来たって言ったろ?」
「え? 弁当箱? もしかしてジュリアが作ったのか? マジで?」
「そうだよ。半分は夕飯の残りもんだけどな」
大丈夫なのか、と問いかけてきたプロデューサーの面を張り倒してやりたい、とジュリアは一瞬思ったが、そう思われるのも無理がないかもしれなかった。以前の自分の食生活は、そのデスクの上にあるものと大差無かったのだから。隣の席には誰もいなかったし、机上も空いている。ジュリアはそこにどかっと腰かけて、さっさと自分の分の包みを開き始めた。
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