【ミリマス】ジュリアがメシマズ克服をPに思い知らせる話
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1: ◆yHhcvqAd4.[sage]
2020/11/03(火) 23:59:59.52 ID:IkPlmJI50
スレが立ったら書きます。

【登場人物】
・ジュリア
(ほぼ名前だけ)
・ひなた
・紬
・亜利沙

位置づけ的にはhttps://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1604048959/の続きです。

7,000字無いぐらいなのでサクッと終わります

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:あんたを驚かせに来た 1/6[sage]
2020/11/04(水) 00:02:27.45 ID:pA5LqmH70

 ある夏の日のことだった。二階の廊下の窓から見える、高校の中庭で、昼食を一緒にとる仲睦まじいカップルが目に入った。そのどちらも、年度の途中で転入してきたジュリアには何年生か分からなかった。少なくとも同じクラスの生徒ではない。女子の方が弁当箱を二つ取り出し、既にパンを齧っている男子へ差し出している。それを受け取った男子は食べかけだったパンの残りを一気に口へ詰め込むと、ニコニコ笑って包みを開いた。わざわざ別々の弁当を作ってきていたみたいで、開いた蓋の内側は間取りも内装も違っているのが、今いる場所からでも分かった。
 カップルは完全に二人の世界に入っていた。こんな目立つ色の頭髪をした自分が窓から覗き見ていても、存在することにすら気づいていない。あるいは、気に留めていないのかもしれない。女子の方は、自分の弁当箱から取り出した卵焼きを、彼氏の男に食べさせている。見ているだけでジュリアは胸やけしそうだった。

「人に見られるような場所でよくもまぁ……っと、イチャつくカップルなんて見てる場合じゃなかったぜ。仕事行かなきゃ」
以下略 AAS



3:あんたを驚かせに来た 2/6[sage]
2020/11/04(水) 00:03:16.07 ID:pA5LqmH70

 金木犀の香りもしなくなり、冬の足音が聞こえてきた、ある秋の朝。その日は午前に雑誌からの取材、午後のレッスンに加えて合わせ練習と、朝から夕方まで予定たっぷりだった。アイドルとしての姿をしなければならない都合上、いつものように髪をセットすることができなかった。できなくもなかったが、そこまで強くこだわる気にはならなかった。それよりも優先すべきは、今日の弁当の用意だった。

 ひなたが泊まりに来たことがきっかけで、ジュリアは能動的に台所に立つようになった。料理ができない理由を今まで考えたことなど無かったが、劇場の台所でひなたや美奈子に付き添ってもらっている内、余計なことをせず基本に忠実にしていれば自然とそれなりのものが出来上がることを学習してからは、「よく知りもしないのに身勝手な自己流でどうにかしようとしていたこと」が主な原因であったことを知るようになった。少なくとも、現在のジュリアは、料理をする時は、常に匙を手元に置くようにしていた。
 最近買った卵焼き用のフライパンは正解だった。スーパーで見かけるあの「厚焼きの卵焼き」を自分で作れた時は踊り出したいほどで、調味料の配分を間違えてしょっぱかったのに、夕食のテーブルに並べる前に台所で半分ほど食べてしまっていた。電子レンジが単に食べ物を温めるだけのものではなく、炒める前、あるいは煮る前の野菜に火を通したり、材料と調味料を放り込んで煮物やカレーを作るのにも使えてしまうことを知った時は、目から鱗が落ちた。そもそも、難しいとばかり思っていた煮物のような料理も、必要なものが分かってしまえばそう困難でもなかったとジュリアは体感していた。ヒラヒラの衣装をあてがわれて可愛らしくスマイルを作る方が、今のジュリアにとっては大変な苦労だった。
以下略 AAS



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