ロード・エルメロイU世の事件簿 case.封印種子テスカトリポカ
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37:名無しNIPPER[saga]
2020/09/22(火) 20:24:44.86 ID:kGu0y7r00

 そして、その背後から飛びかかる更なる怪人の姿。

「ガァァァアオ――!」

「!?」

 奇声を発して躍り掛かってきた怪人を避ける為、テスカトリポカがその場から飛び退く。

 新たな乱入者の正体は、自分の探し人だった。奇妙な民俗衣装に、手に持った一振りの竹細工。

「ティガーさん……!?」

「良く持ちこたえた、シンデレラ。あとは私に任せるガオ! 村を燃やしたのはこいつと見た。だってあからさまに燃えてるし!」

 叫ぶや否や、ティガーはバン・ブレードと彼女が呼ぶ武器に手を這わせた。竹板を4本組み合わせ、弦や革で固定した、およそ殺傷力という点から見ればお話にもならないその棒切れ。

 だがティガーが柄尻のストラップを思いっきり引っ張ると、竹の合わせ目から無数の黒い刃が出現。さらにどういう仕組みか、甲高い音を立ててチェーンソーの如く刃が猛回転し始めた。

「本邦初公開、バン・ブレード、モード・マカナリーサル……! 論理的にこいつを見て生き延びた奴はいねぇ! 勝った! 死ねい!」

 神霊相手であるというのに、畏怖も躊躇もなく、回天刃を大上段に構えて飛び掛かるティガー。

 止める間もなかった。テスカトリポカは僅かに半身をずらすだけで兜割りの一撃をよけると、カウンターでティガーの手首を掴み、

「あれ?」

 数メートル離れた場所で燃え盛っている建物に投げ込んだ。既に半ば炭化していた木造建築の壁は、砲弾の如き勢いで飛び込んできたティガーに耐えられない。大穴が開き、彼女は火の中に消える。

更にその建物は衝撃に耐えかねて倒壊した。

「……」

 心なしか、テスカトリポカも困惑しているように見える。

 だが事態は更に加速し続けた。未だ燃え盛る瓦礫の山が、内部から弾け飛ぶ。中からところどころ焦げつつも、ほぼ無傷のティガーが現れた。

「イヒヒヒ! いやいや、おかしいだろ! どんな理屈だ!」

 ほっとしたのと同時に、アッドの叫びに心から同意したい――だが驚愕するのはまだ早かったのだと思い知ることになる。



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