ロード・エルメロイU世の事件簿 case.封印種子テスカトリポカ
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名無しNIPPER
[saga]
2020/09/21(月) 20:45:45.70 ID:amUbMXcr0
「明日は夜明けと同時に村へ向かうガオ。テントなんかはないけど、寝れそう?」
「いまのコンディションなら、コンクリートの上でも泥の様に眠れそうだ」
紫煙をくゆらせながら、師匠。揺れる火の明るさに映し出される表情には、疲労の色が濃い。
「拙も、大丈夫です」
「じゃあぱぱっとご飯にするガオ。まだ食料はある? というか、お腹減ってる?」
「えーと……すみません、食料はもう……」
「空腹ではあるが、一食抜いても大したことはない。慣れている」
「慣れて欲しくは無いのですが」
師匠は論文の執筆に没頭しだすと、食事や身だしなみを気にしなくなる悪癖があった。自分が部屋に入って身の回りのことをやっても全く頓着しなくなるほどだ。
さておき、食料はもうない。もともと村までの片道分しか持っていなかった――自分と師匠の装備は、糧食も含めて先行した調査チームが持ちこんでくれる手筈になっていたからだ。
その僅かな食料も、ここに来るまでの間に消費してしまっている。カロリーを補充しながら進むのは長距離行軍の基本らしいが、正直休憩の回数が多すぎた。
「まあ、そうかなーってお姉さん思ってた。だからこちらでご用意させていただきましたガオ!」
そう言って、ティガーは炙っていた木の枝を高く掲げた。正確には、丸々太ったカブトムシの幼虫のような芋虫が刺さった枝を。
一瞬意味を図りかねる。何故虫を枝に刺して炙るなどという残酷な行為をしていたのか。
それが"調理"であり、用意したという食事であることを理解した時、自分の心臓は早鐘を打ち、嫌な汗がどっと噴き出した。
「え、いや、あの」
縋る様に師匠を見やる。だが師匠も絶句し、咥えていた葉巻をぽろりと落としていた。地面を撥ねた葉巻がたき火の中に消える。
「ごめんね、一匹しか取れなかったガオ。でも栄養満点だし妙に疲れも取れるから安心して食べて欲しい」
ずい、と自分と師匠に向けて差し出される異文化ご飯。後で知ったが、アステカではバッタや芋虫などを食べる習慣があったそうだ。もっと早くに知っておきたかった。
師匠と視線が交錯する。おそらくこの気持ちは一緒だ。食べたくない。田舎暮らしとはいえ、虫を食べる習慣はなかった。都会派を標榜する師匠もそうだろう。
だが折角の好意を無下にされた時、果たしてティガーがどういった行動に移るか。
ならば、自分が取るべき行動は――
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