34:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 02:12:06.55 ID:WsJ2cUxc0
一方、その頃。
社築は手近かつ手ごろな大きさの石に座り異世界の攻略を始めていた。
「『ステータス』! ……これじゃないか。『メニューウインドウ』! ……これも外れかよ」
ただし、その結果は惨憺たるものであり、お世辞にも結果が出たとは言えないものであったが。
「築、ほっといたらお主そのうちに『ペルソナ』とか叫びだしそうじゃな」
ファイアードレイクは溜息にごく自然に炎を混じらせる。同じく石に座り込んだ彼女は手の中の兎(に酷似した四足獣)を器用に爪で肉へと解体していた。
「まあ、異世界ならATLUSの魔の手(権利者許諾)も及ばないだろうから、近いうちに試すと思うが。にしたって多分この方向からのアプローチは失敗だな。さっきからまったく手応えが無い」
「じゃろうな。そういった世界ならばほれ、このような手間が要らん」
開いた兎の腹から取り出した内臓の類を指先で摘まんで見せつける妻に、社は思わず非難の声を挙げてしまう。
「うわあ、それ実物は地味にグロい」
「これだってゲーム的な世界であったらば兎に止めを刺した時点で肉になるじゃろうな。じゃが、そうではない。毛を焼き皮を剥ぎ内臓を取り出しと精肉に大変手間がかかる。ゲーム脳は捨てろと、そう声高に言われておるよ、これは」
奇しくも葛葉がゴブリンの死体から推理した内容に、こちらの夫婦も同じく死体からするすると難無く辿り着いていた。
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