33:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 02:01:15.99 ID:WsJ2cUxc0
「姉ちゃん、ちょっと二人のトコに戻ろう」
「え、なんで? ご飯は?」
「それなんだけどな。モンスター倒しても金っぽいアイテムを落とさなかった。つまりスーパー見つけても俺らはこの世界の通貨を持ってないから何も買えねーんだわ」
虚偽は言っていない。だが、ドーラと社の下に戻る理由は別。出来るだけ早く警告をしておくべきだろう、と葛葉はそれだけを考えていた。
「うっせやろ!? ドロップ無いの?」
「無い。割と心臓に悪いリアル『剥ぎ取り』をすればアイテムドロップは有りそうだったけどな。目玉とか心臓とか」
「うわキモ! わたし遠慮しとくわ。葛葉やりぃよ」
「え、ヤだよ?」
「まあ、せやわな。……しかし、そか…………そうかぁ……」
ひまわりは一人、納得して葛葉の隣を歩く。二人には頭一個分以上の身長差が有り、自然、姉は弟を見上げるような角度になってしまうわけだが。
そうして窺った弟の横顔は、戦闘前にも増して険しかった。
「…………って事は本格的にサバイバルやなぁ」
自分に無用な心配をさせまいとしている弟の意思が見て取れる、焦燥を隠し切れていない「それ」はこの異世界旅行の前途多難を暗示するようにひまわりには見えた。
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