22:名無しNIPPER[sage]
2020/09/14(月) 11:54:14.94 ID:SzajDXTSo
乙
23: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:03:53.23 ID:Od9IjqsH0
投下します
↓ ↓ ↓
24: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:04:49.23 ID:Od9IjqsH0
朝が、きた。
どうやら、そのまま眠ってしまったらしい。起き上がると鈍い頭痛がする。
昨日のことを思い出したりするけれど、今日は今日でいつもの日常が待っている。仕事が待っている。
くらくらする頭を、シャワーで洗い流す。いくらかさっぱりはするものの、気持ちはまったく晴れない。
25: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:05:56.49 ID:Od9IjqsH0
昨日より遅くに、事務所へ着いた。ドアを開けるとそこにはスタッフの右往左往と、アイドルたちの沈んだ顔。
事務所の中は昨日よりもずっと重く、ずっと深かった。少しは想定していたとはいえ、この雰囲気に飲まれそうになり、一歩が踏み出せない。
「楓ちゃん」
26: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:06:56.49 ID:Od9IjqsH0
確かに私とPさんは古い付き合いで、彼にスカウトされ、彼のプロデュースでデビューし、彼のおかげでシンデレラガールにまで登り詰めた。
その間に彼は何人かのアイドルを同時にプロデュースしていたこともあったけれど、今は私だけとなっていた。
なぜか。
27: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:07:39.84 ID:Od9IjqsH0
「まあ、大丈夫とはとても言えないですけど……でも、Pさんが残してくれた仕事がありますから」
私がそう答えると、瑞樹さんは「待って」と言い、私と目を合わせる。
28: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:08:23.61 ID:Od9IjqsH0
残された私はまず、Pさんのデスクに向かった。
彼がいないのは事実。でも彼のデスクで当日のスケジュールを確認することが、私のルーティーン。
だからいつものように、そう、いつものように。
デスクの上の閉じられたノートパソコンを、私は撫でた。
29: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:09:02.79 ID:Od9IjqsH0
「私にパスワードを教えて、いいんですか?」
「もちろんです。見られて困るものは全然ありませんし、一緒にスケジュール確認するなら、このほうがいいでしょう?」
「私、Pさんに内緒で、エッチなホームページの履歴を探しちゃうかもしれませんよ?」
「いやいや楓さん。これ、ちゃんとウェブフィルターがかかってますから、最初から見られませんよ」
30: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:09:54.19 ID:Od9IjqsH0
「楓さん……昨日は本当に、ありがとうございました」
「いえ、ただ一緒に帰っただけですから。少し、落ち着きましたか?」
「ええ……まあ」
31: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:10:33.88 ID:Od9IjqsH0
「え? ちひろさん、勝手にPさんの手帳出して、いいんですか?」
「はい。Pさんには以前から『ここに手書きのスケジュールとか入れておきますから、いつでも見てください』って言われてましたから。
ほんと、Pさんはオープンな人ですよね」
32: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:11:22.25 ID:Od9IjqsH0
慌ただしい日々は続く。それでも。
私はどうにか、告別式で焼香できる時間をひねり出すことに成功した。
当日は収録の仕事が入っていたけれど、中抜けをして斎場に向かうことができるよう、事務所のスタッフが手配してくれていた。
みんなギリギリの心理状態であろうに、本当にいくら感謝しても足りないくらい。
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