24: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:04:49.23 ID:Od9IjqsH0
朝が、きた。
どうやら、そのまま眠ってしまったらしい。起き上がると鈍い頭痛がする。
昨日のことを思い出したりするけれど、今日は今日でいつもの日常が待っている。仕事が待っている。
くらくらする頭を、シャワーで洗い流す。いくらかさっぱりはするものの、気持ちはまったく晴れない。
昨日の今日で気持ちが切り替えられるのならどんなに楽だろうと想像するけれど、簡単に切り替えられないから私なのだ、などと自分に言い訳をした。
悲しいかな、どんなに嘆いたところでPさんが帰ってくるわけじゃない。
それよりも彼が残してくれたスケジュールを、私はこなさねばならない。それが唯一彼に報いることなのだと、その時の私は思っていた。
玄関を出る。
私ははっとした。そうだ、もうPさんの送迎は、ないのだ。
アイドルとして名前も売れシンデレラガールの称号を得た私が、電車で通うなど問題が大いにありすぎる、と。
担当が責任をもって送迎する、それが事務所のやり方。
Pさんが私を迎えに来る、それが今までの私の日常だったのだ。
そして今、日常は打ち破られている。
足がすくむ。どうしようという気持ちがぐるぐると、私を締め付けた。
でも、Pさんの残してくれた仕事があるからと、そう自分に言い聞かせながら私はタクシーを捕まえた。
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20