115: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/21(月) 22:59:24.36 ID:brMXuKjJ0
「そう、今は泣くの。ひたすら泣いて、彼のこと、想うの」
誰もが彼のいない世界で、懸命に頑張っているというのに。
私がPさんを想うことを、許されるはずがない。そう自分を戒めて今まで走ってきた。
そして未だに、走り続けている。
「大丈夫。楓ちゃんと私だけだから。今は、泣くの。ねえ」
瑞樹さんの言葉が、私の弱さを溶かしていく。
「……ううっ……えっ……」
瑞樹さんは私が限界だと察し、今日こうして誘ったのだと、ようやく気が付いた。そして、心を開かない私に、自らが犠牲になって言葉を放った。
私は、大事にされている。改めて私は、そのことに気付く。
ありがとうの言葉は、今は口にできない。
ただ、こうして泣かせてくれる優しさに、私は感謝する。
瑞樹さん、今日はごめんなさい。だけど今だけ。
泣いて、いいですか。
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