30: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 17:58:54.84 ID:P7mZ3r8kO
「……ちゃんと話したことなかったか?」
「流石の小町もあんな状態のお兄ちゃんに聞けないよ」
「えっ、そんなに俺落ち込んでた?」
「滅茶苦茶暗かったよお兄ちゃん……。自覚なかったんだ」
31: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 17:59:22.60 ID:P7mZ3r8kO
だが、俺もあれをどう言葉にすればいいのか、わからない。
いくつもそれらしい単語は浮かんでくる。だけどもそれらは全てあまりにもチープで、そんな単純な話じゃないんだと否定したくなる。
雪乃と過ごしたあの最後の数週間。その時間を、空間を、感覚を、声に出して形容するのはきっと不可能だ。
32: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 17:59:51.30 ID:P7mZ3r8kO
「約束?」
小町は予想外の単語に困惑の色を示す。頭の上にクエスチョンマークが浮かび上がってくるようだった。
「雪乃の大学じゃ、俺の評判はあんま褒められるものじゃなかった」
33: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:00:18.21 ID:P7mZ3r8kO
「どうやら向こうでは俺に関して根も葉もない噂が飛び交っていたみたいでな。それだけ雪乃の影響力が大きかったということでもあるけどな」
「スルッと元カノの自慢入ったね」
元カノという単語に聞き馴染みがなかったせいで、一瞬小町の言ったことが理解できなかった。そんなリア充な言葉には縁がない人生だったのになぁ。
34: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:00:48.42 ID:P7mZ3r8kO
「その言いぶりだと、雪乃さんにはバレちゃったわけだね」
「正直者だからな」
「どこの誰の話をしてるの、お兄ちゃん?」
小町の冷たい視線が突き刺さる。いや、俺結構正直者よ? 正直すぎて家から出たくないって思ったらテコでも動かない自信あるし。
35: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:01:15.84 ID:P7mZ3r8kO
「それで苦しい思いをしてたのはお兄ちゃんだけじゃないんだよ? わかってる?」
「ああ、わかってる」
今は、という言葉は意味がないから口にしない。あの頃にそれが理解できていたなら、きっとあんな結末には至らなかったはずだ。
36: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:01:53.82 ID:P7mZ3r8kO
――
――――
「いただきます」
37: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:02:20.79 ID:P7mZ3r8kO
――
――――
不定形な意識が、徐々に輪郭を持ち始める。
38: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:02:48.97 ID:P7mZ3r8kO
とりあえずここまでです。
39:名無しNIPPER[sage]
2020/11/12(木) 22:14:49.73 ID:hhFo4CypO
あ
40:名無しNIPPER[sage]
2021/04/05(月) 10:29:35.96 ID:HhRJCrG3o
まつ
54Res/39.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20