アイドルと僕
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31:名無しNIPPER[saga]
2021/05/13(木) 23:53:16.82 ID:1TERXuXxO
アスタのメンバー募集がタイムラインに流れてきた。アイドルのオーディションなんて受ける勇気は私にはなかったけど、これならばと思えた。

ダンスの経験も無かったけど、意を決して練習の見学に行き、そのまま私はグループに加入した。

本物に比べると少しショボいのかもしれないけれど、本家に似せた手作りの衣装を着て初めてステージに立った時の感動は今でも覚えている。

あの感動があったから、こうやってファンとの関係性に悩むことがあっても私はコピユニを続けている。めうとしてステージに立っている。例えそれが、彼女のように輝く場所でなくとも。

「おはよー」

教室に入るといつも通り、講義を一緒に受けている子たちの近くに座った。入学直後、巻き込まれるがままに行ったテニサーの新歓で知り合った子たちで、私と違って陽キャ感は否めないけどみんな良い子たちだ。

栞はとても気が利いておしゃれだし、知代は顔が広くて彼氏を絶やすこともない。でも、そんな二人であっても、「彩ちゃんとよくいる人たち」としか外からは認識されていない。

本人にその意識があるのかないのかは分からないけれど、三森彩は紛れもなく姫だ。

初めて見たときに目を奪われた。すらりと伸びた手足はどこのモデルかと思うような白さと細さで、痛んでるところなんて微塵もなさそうな黒髪が腰の辺りまで伸びていた。フランス人形と日本人形の良いところだけを選ったかなような目鼻立ち。こういう子がアイドルになるんだろうなと、向かいの席で思ったものだ。

今となっては話すことも殆どない、入学直後にちょっとだけ行動を共にしていたこは新歓に行くや否や男の子たちと話し込んでいて、その輪に加わる勇気もない私は、アルコールで盛り上がる先輩方を横目に冷えたポテトと彩の顔をつまみにオレンジジュースを飲んでいた。


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