アイドルと僕
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32:名無しNIPPER[saga]
2021/05/14(金) 01:15:01.75 ID:4xcELWl+O
彼女はといえば、私みたいなモブと違って先輩たちが絶え間なく絡みに行っていた。

酔った勢いもあってか、多少失礼なニュアンスも含まれていそうな言葉に対しても、物怖じせずに受け答えをする彼女を見て感心していた。これならアイドル雑誌のインタビューでも満点の回答ができそうだ。

最初に隣に座っていた先輩は数分経って席を外して以来戻ってくることはなかった。とはいえ周りの盛り上がっているところに突っ込む勇気もなく、私は彩の様子を延々と眺めていると新歓が終わった。

誰とも交遊を深めることもなく終わってしまったけれど、ただでご飯を食べさせてもらったと思うことにした。私を誘った子は二次会に行く気だったようだけど、私はその気になれなかった。

「それじゃ、一次会だけの人はお疲れっした〜。また遊びに来てね〜」

赤くなった顔、大きな声で幹事の先輩がそう言った。

彩はというと、二次会には行かないようではあるものの、先輩たち、主に男性陣から強く誘われつつその誘いを断っていた。

名残惜しそうな先輩たちがそのまま夜の町に消えていき、一次会で帰ることにした数名がその場に残った。

とはいえ、先輩というフィルターをなくせばそこにいるのはただの赤の他人で、じゃあ仲良くみんなで帰りますかという雰囲気でもなかった。

何となくの気まずさを感じていたら、近くに立っていた彩から声をかけられた。

「私、何か変だったかな?」


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