夜叉神天衣「……気が済むまで、踊ってあげる」名人「それは楽しみだ」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/10(月) 21:02:53.86 ID:WY8AjuAdO
「天衣、ちょっと待ってろ」

私が思わず微笑んでしまったのを見て、八一は師匠として何やら思うところがあったらしく引き返し、駒音高く盤上に一手を放った。

「ほう……この手は……」
「今度こそ、失礼します」

まるで捨て台詞のように吐き捨てて、八一はまた私の手を取って歩き出した。手が熱い。

「よし。今度こそ帰るぞ」
「名人の次の一手を見なくてもいいの?」
「そう簡単に返せるような温い手じゃない」

その宣言通りそれから名人は随分と長考したらしく、その日の対局は時間ギリギリで入室したのだが、しかし対局自体は苦もなく勝利しているところはやはり流石名人であった。

「せ、先生……怒ってるの?」
「別に」

帰り道、八一は明らかに怒っていた。
それは子供の私にもわかる明らかな独占欲の発露であり、弟子としては自分の師匠が負けた対局の勝ち筋をきちんと見つけていたこともあって、とても嬉しい気持ちで一杯だったのだが、私はそれを素直に口にすることは出来なかった。


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