夜叉神天衣「……気が済むまで、踊ってあげる」名人「それは楽しみだ」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/10(月) 20:58:21.05 ID:WY8AjuAdO
「ま、参り、まし……」

悔しい。悔しくて、涙が止まらない。
自分の研究を否定されたからではない。
あの竜王戦第一局において、八一が勝利する勝ち筋を名人に示せなかったことが悔しい。

熱い涙を滝のように流しながら私は、私は。

「天衣ッ!」
「ッ!?」

聞き慣れた叱責に顔を上げて振り返ると、そこには鬼の、いや『竜』の形相をした師匠である九頭竜八一居て、名人に向かって勢いよく気炎を吐き出した。

「指導対局は師匠である俺の役目ですので、いかに名人と言えども勝手をされては困ります」
「確かに。分を弁えずに申し訳ない」

素直に謝罪する名人を一瞥して先生は泣きべそをかく私の手を取り、席を立たせた。

「では、名人。失礼します。帰るぞ、天衣」

そのまま私は連れて帰ろうする師匠の手を弱い私は振りほどくことは出来ず、それでもこれだけはと思い、名人にその言葉を伝えた。

「あ、あのっ、め、名人……!」
「はい。まだ私に何か?」
「あ、ありがとう、ございました!」

その感謝は指導対局に対してではなく。
先生との一番をずっと覚えてくれたことに対する弟子として感謝を込めてのものだった。
すると名人は人の良さそうな笑みを浮かべ。

「こちらこそありがとうございました。夜叉神天衣さん。これからも頑張ってください」

名前を呼ばれただけで嬉しい。マジックだ。


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