夜叉神天衣「……気が済むまで、踊ってあげる」名人「それは楽しみだ」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/10(月) 20:54:42.08 ID:WY8AjuAdO
「くっ……!?」

一手。また一手。私の研究が否定される。
それは当然の結果であり、必然とも言える。
名人は先程、この一局は研究の価値があると言っていた。彼も変化を研究しているのだ。
彼の研究に打ち勝つ実力はまだ私にはない。

「っ……まだっ!!」

私は諦めない。自分の為。そして師匠の為。

「これで……!」

私の最終結論に対し、名人は扇子を広げて。

「……はあ」
「ッ!?」

隠した口元から溜息を吐いた後に指した一手を見て、自分の最終結論が敗着だと悟る。

「……ま、参り……」

駒台に手を乗せて、自らの敗北を告げる。
それは一番初めに先生に教わったことだ。
それをこの宿敵に口にするのが嫌で嫌で。

「……………………」

名人は何も言わない。ひたすら無言である。
それは無言の指摘であった。罵倒、だった。
よもやお前の師匠がこの程度の変化をあの場面で読んでいないとでも思ったのかと。
そして、それを見透かした上で勝ちが揺らぐことはないと、言外に告げられていた。

私は負けた。盤上でも、盤外でも。


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