ハートの融点
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6: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:25:42.31 ID:S7yVE8bX0



日付の変更と共に届いていたらしい友人たちからのおめでとうのメッセージへ、ありがとうの返信をしながら身支度を整えた私は自宅前の通りに出る。

肌をじりじりと焦がすような陽射しは容赦なく降り注ぎ、空はスカイブルーとはこの色であると言わんばかりに澄み渡っていた。

誕生日である今日が絶好のお出かけ日和になったことを喜びつつ、肩に提げたボストンバッグの中身を再度確認する。

今日はやりたくなる可能性のあるものはすべて用意するように、とプロデューサーから言われていた。
曰く、今日は一日私の思うままに過ごさせてくれるらしい。
そのため、私がやりたいと思ったことにすぐに対応ができるように、思いつく限りの物を用意して欲しいとのことだった。

そう言われてしまうと迷ってしまうもので、際限なくあれこれと鞄へ放り込んでいったあとで、どう考えても一日でできる量ではないことに気付き、その時点で手を止めたのだった。
したがって、鞄の中はもはや何をしに行くのかわけがわからないほどに雑然としてしまっているが、これはこれで面白いからいいか、とも思う。

服装も、様々な状況に対応できるよう動きやすいジーンズと汚れてもさほど悲しくならない無地のシャツを着用しているせいか、これから誕生日のお祝いをしてもらうという気はあまりしない。

頭には大きな帽子とサングラス。
化粧も日焼け止めも、万が一を考えてウォータープルーフのものにした。

ここまで用意したら、不備はないだろう。
そんな心持ちでプロデューサーの到着を待っていると、目の前に見慣れないワゴン車が停まった。

その車の主はエンジンをかけたまま運転席から降りたようで、ばたんとドアを閉める音が私の耳に届く。

両親のどちらかのお客さんだろうか、とその動向を見守っていると、ぺたぺたという足音と共に見知った顔が現れる。

「おはよう。凛」
「え。何この車」
「レンタルした。ほら、俺の車は荷物いっぱい積むには小さいし。こっそり社用のワンボックスカー借りようかとも思ったんだけど」
「またちひろさんに怒られるよ」
「そう。千川さんにマジトーンで怒られるのほんとにキツいからやめた」
「怒られるようなことしなければいいのに」
「それはそう」

私の荷物を彼はひょいと持って、後部座席へと入れてくれる。後部座席は彼の用意した荷物も大量に積んであって、かなりの量だった。



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