ハートの融点
1- 20
3: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:23:32.08 ID:S7yVE8bX0

「うわ。何見てんの」

プロデューサーのおばかぶりに私が呆れていると、不意に背後から声を投げられた。

「あ。出た」
「出たとはなんだ。出たとは。……ってか、なんで俺のパソコン」
「パスワード、てきとーに入れたら開いちゃって」
「凛、天才ハッカーの才能もあるんじゃない?」
「インターネットリテラシーの低いどこかの誰かにしか通用しないと思うけど」
「いやいやいや、普通わかんないだろ。パスワードなんて」
「好きな女の子の誕生日をパスワードにしてはいけません、って習わなかった?」
「自意識過剰じゃない? 担当してるアイドルの子の誕生日入れただけだもん」
「ふーーーーん。じゃあ、これは?」

びしっと指でモニターを示す。見せるのは当然、先ほどの彼の予定表の八月十日の表示だ。
それを見たプロデューサーは「あ」と発したあと、何も言わなくなった。

「これ、他の社員さんたちも見れるんでしょ?」
「……そうですね」
「なんでここに入れたの?」
「予定表に凛の誕生日があったら、楽しいかなぁ、って」
「これだと私がわざわざ誕生日にプロデューサーとどっか行くみたいに思われるでしょ」
「え?」
「え、って何?」
「どっか行かないの?」
「…………それは、プロデューサー次第だけど」
「なるほど」
「あ。ごめん、行かなきゃ」

携帯電話に入ったメッセージを彼に見せ、私は席を立つ。

「ちひろさんとメロン食べるんだ」
「え、ずるい」
「ずるいも何も、私がもらってきたメロンだからね。そしたら、ちひろさんが紅茶淹れてくれる、って」
「えー。俺も行っていいかな」
「さぁ」

さぁって何、などとぶつくさ言いながら彼は私の後ろをついてくる。
どうせ、だめだと言ってもついてくるのだから、好きにさせておくしかない。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
32Res/40.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice