616: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:54:39.25 ID:bvl3ZNmeO
第25-5話
617: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:55:33.73 ID:bvl3ZNmeO
海が良く見える岩場に、彼は腰掛けていた。ザザァ……と波の音だけが聞こえる。
「エリック、そろそろ時間」
618: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:56:04.10 ID:bvl3ZNmeO
沈黙を破ったのは、彼の方だった。
「……どうするんだろうな」
619: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:56:52.61 ID:bvl3ZNmeO
決して結ばれることはできない。それはカルロス君の破滅だけでなく、多くの犠牲を招きかねないからだ。
なら、彼に抱かれるのを拒みつつ、一緒に生きられるだけで良しとするの?それはそれで、生き地獄を彼に味わせることになる。
とすれば……私なら、きっと身を引く。トンプソン先生のように、精神感応魔法に長けているわけじゃないけど……できれば、彼の記憶を消した上で。
620: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:57:25.79 ID:bvl3ZNmeO
「どうした?」
「ううん……ちょっと。嫌なことを考えちゃって」
「……そうか」
621: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:58:20.31 ID:bvl3ZNmeO
「どうしたの?……まさか、アヴァロンが来たとか」
「いや……違う。お伽噺じゃない。不可能じゃないぞ、それは」
「え?」
622: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:58:49.52 ID:bvl3ZNmeO
「ああっっ!!!」
私は思わず叫んだ。そうだ、シェイド君はもともと偽猫(デミキャット)だった。それがアリス教授によって亜人の姿になれるようになったんだった。とすれば……
「鍵はアリス教授が握っているわけ?」
623: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:59:41.56 ID:bvl3ZNmeO
用語紹介
偽猫(デミキャット)
猫に良く似た魔獣。人里周辺に住んでおり、農作物を荒らす害獣として知られる。猫との違いは尻尾が2本ある点にある。
624: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:00:08.49 ID:bvl3ZNmeO
第26-1話
625: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:00:54.94 ID:bvl3ZNmeO
目が覚めて時計を見る。5と半刻。枕は変わっても、寸分違わないことに私は満足した。
ここには信徒はいない。いるのは私と、「魔法環」で拘束されているエストラーダだけだ。
残る血はわずか。完成前に彼を解き放ったのは、私らしからぬ失敗だった。
626: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:01:21.83 ID:bvl3ZNmeO
……許されない。
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