618: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:56:04.10 ID:bvl3ZNmeO
沈黙を破ったのは、彼の方だった。
「……どうするんだろうな」
「えっ」
「カルロスとメディアのことだ。全部終わって、奴らが生き延びれたとして……そこに未来はあるのか?」
「未来って……一緒に生きられるんだから、あるに決まって」
「いや、違う。カルロスは男で、メディアは女だ。人外だとしても。
そして、互いに想い合っている。そういう男女が、全く触れ合わずに生きることなどできるのか?」
できる、と言いかけて私は口をつぐんだ。前の私なら、躊躇わずそう言っていただろう。でも、今の私は……違う。
隣の少年に、もっと触りたい。触ってほしいと思っている。許されるなら、その先まで。
彼は意識しているか分からないけど、口付けだって交わしている。あの感触は、まだ忘れてはいない。
だから……カルロス君とメディアさんが繋がれた枷が、あまりに重いことを私は理解してしまった。
そう、愛し合っている2人は、1つになりたいと思うはずだ。それが決して許されないとしたら?
エリックが溜め息をついた。
「……分かったみたいだな」
「そんな……!!じゃあ、どうすればいいのよ……」
「それに答えが出ているなら、ここに残りはしないさ」
彼は足元の小石を拾い上げ、海へと放り投げた。
「俺は男だ。だから、カルロスが自分の欲求に耐えられるとは、そんなに思っていない。
まして20になるかどうかのガキだ。普通に考えたら、好き合ってる女がいたらヤりたくて仕方ないに決まってる」
「じゃあ見捨てろって言うの??」
「……いや、それはできないし、したくもない。だから上手い解決法がないか、あの話を聞いてからずっと考えていた」
「だから、私に?」
彼が頷いた。
「もしお前がメディアなら、どうする?」
「私がメディアさんなら?」
「ああ。俺は女じゃないからな。それはお前の方がきっと良く分かる」
私が彼女なら……どうするだろう?
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