魔王と魔法使いと失われた記憶
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49: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/10(月) 09:44:59.80 ID:fbURo3hcO
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「じゃあ、行くぞ」

魔王はフードをすっぽりと被った。私はというと、魔法使い御用達の黒いローブ姿だ。「いつも慣れている服装の方がいいだろう」ということらしい。
これからは長旅になる。魔王の背中には、2人分の着替えがギッシリと詰まったザックがあった。魔法使いと行商人、ということで通すのだという。

教授には、まだお別れの言葉を言えてなかった。無断でオルランドゥを出ることには、とても罪悪感がある。今日は安息日だったからいいけど、明日私が来ないと知ったらどんなに悲しむだろう。

……それでも、私が狙われているのが事実なら。そして、その被害が教授たちにも及ぶのなら。この決断は、もうやむを得ないことなのだ。

辺りはすっかり暗くなっている。今日は徒歩で隣町のユージーンまで行くらしい。
ここからは15キメドほどある。……そんなに長い距離を歩いたことなんて、今まであっただろうか。

「どうした」

「……いえ、大丈夫」

魔王に促され歩き始める。彼のことを信用したわけじゃない。でも、私を守ってくれるのは、彼だけだ。
私が使える攻撃魔法なんて、たかが知れている。昨晩のことを思い返すと、改めて身震いがした。


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