アナスタシア「しとしと、わくわく」
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3:名無しNIPPER[saga]
2020/08/02(日) 21:15:25.43 ID:HnCLjJSc0


 「――それでは、ひらひら降る、これはどうか。まだ足りない。
  さらさら、これは近い。だんだん、雪の感じに近くなって来た」

 「はい。次の人?」


現代文の岩山先生の授業では新しい作品を扱う度に行われている、
一人ずつ交代制の音読。
今日の授業からは太宰治の『千代女』を学んでいくようです。


新しいようで新しくない、美しくもやや時代がかった文章に、
アーニャの口からまた一つ、憂鬱がふぃよと転げ落ちていきます。
山崎さんがそっとリボンタイの位置を直しました。


 「これは、面白い、とひとりで首を振りながら感服なさって腕組みをし、
  しとしとは、どうか、それじゃ春雨の形容になってしまうか――」



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