2:名無しNIPPER[saga]
2020/08/02(日) 21:13:01.08 ID:HnCLjJSc0
これまた曇り気味の窓ガラスを背景にまろび出たその仕草は、
さながらキャンバスに描かれたモノクロの絵画のようで。
ただその二つの深い青の瞳と、くるくる回される真っ赤なシャープペンシルばかりが、
何よりもその作品の完成度を高めていました。
そんな一作をうっかり鑑賞してしまったのは、
教室に居る三十名あまりの中で彼女の右隣に座る山崎さん、ただ一人だけでした。
どんなクラスメイトにも笑顔で駆け寄っていくアーニャの、
少しばかり翳の差した横顔に、不思議と山崎さんの胸が高鳴ります。
山崎さんは胸元のリボンタイを握りながら、
言い知れぬその感情に何か名前を付けようとして、
きっとそれは、それは愚かなことでした。
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