6:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:10:19.17 ID:qe4+sBJv0
「おねえちゃんのおなまえは?」
「私の名前……?よ、ヨハネよ。」
自らを名乗ることなんて何時ぶりだろう。
「ずら〜!かっこいいおなまえだね!」
心の底から楽しそうにその場で何度も跳ねる花丸を見て、思わずヨハネの顔がほころぶ。
「ほら、探しに行くわよ。」
似つかわしくない笑顔を浮かべた自分がなんだか恥ずかしくて、思わず顔を背ける。
「しゅっぱーつ!」
花丸の小さな手がヨハネをぐいっと引っ張る。
秋の柔らかな太陽は、森の中を意気揚々と歩いて行く花丸と、尻尾と翼を丁寧に畳み、花丸に引っ張られていくヨハネを優しく照らしていた。
「ねえ、花丸……って言ったっけ?」
「はーい!」
自分が迷子であることなど忘れたかのように、元気よく返事をしながら花丸は満面の笑みで振り返る。
「あんたって──」
──なんで、私の姿が見えるの?
花丸と会ってから、ヨハネの頭にはこの疑問が貼り付いている。
なのに、満面の笑みの花丸の顔を見ていると、途端に言葉が出てこなくなる。
だいたい、こんな年端もいかない子供に聞いてわかるわけがない。
「なんでもないわ。」
微笑を浮かべてヨハネは誤魔化す。
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