5:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:09:44.05 ID:qe4+sBJv0
数分もすると、ようやく子供は落ち着きを取り戻したようだ。
真ん丸な瞳で不思議そうにこちらを見上げている。
透き通った琥珀のような瞳がとても綺麗だ。
「……それであなたのお名前は?」
「くにきだ……はなまる」
泣き疲れたのか、花丸と名乗る少女はぽつりぽつりと話してくれた。
「おばあちゃんと山に来たんだけど……おばあちゃんとはぐれちゃって……」
話しながら、花丸は三度泣きそうになる。
「だ、大丈夫よ!私がおばあちゃんのところまで連れて行ってあげる!」
思わず言葉が口を衝いて出て、自分でも驚く。
なぜ自分は今出会ったばかりの少女を助けようとしているのだろう?
自分の力で勝手にここまで来たんだ、どうせ家も近くだろうし、近くにそのおばあちゃんとやらもいるだろうに。
そして、何より私は────
「ホント?見つけてくれるずら!」
瞳をきらきらと輝かせながら、花丸の顔が華やぐ。
「……ええ、連れてくわ。」
目の前の花丸の顔を見ると、あれこれ考えていたことなど、ヨハネの頭の中から消えていた。
乗りかかった船と自分に言い聞かせる。
大丈夫。近くまで連れて行くだけ。
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