59:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:52:08.58 ID:qe4+sBJv0
「あなたが仲良くなった女の子はすでに死んでいるはずの命だった。」
ヨハネは思わず耳を覆う。
それでも指の隙間から、容赦なくマリーによる「現実」が耳に流れ込む。
「あなたはその子の命が尽き果てるはずだった夜に、あの子に会いに行った。」
嫌だ。
「そして、無意識のうちにあなたはこの山の様々な命を犠牲にあの子を救ってしまった。」
聞きたくない。
「その結果がこれよ。寿命を引き延ばすなんて無茶やってるの。あの子はあと10時間ぐらいしか持たないわ。あなたがやっていることは、ただの延命──」
「もうやめてぇ!」
耳を押さえる手は震え、頭蓋は心臓があるかのように脈を打つ。
「もう、やめて……」
「……やめる訳にはいかないわ。あなたは禁忌を犯した。あなたのせいで、山の環境は滅茶苦茶。このままだと、あなたは悪魔の位に落とされてしまう。」
「アクマ……」
そんなの──
(今の私にぴったりじゃない。)
押し黙ったヨハネに、マリーはおずおずと声をかける。
「つらいのはわかるけど、お願いだから言うことを聞いて。」
「マリーに……なにがわかるのよ!」
マリーは何もわかっちゃいない。
花丸と会ったこともないくせに。
自分にとってかけがえのない存在がどんなものか、わかってなんかいないくせに。
「私と同じ気持ちになんか、なったことがないくせに!」
74Res/68.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20