58:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:51:06.74 ID:qe4+sBJv0
「ヨハネ。もう二度とあの子に近づかないこと。これはあの子を、この山を守るための上からの命令です。」
そんなヨハネに対して、マリーは冷ややかに言い放った。
「そんな……!」
首を横に振るヨハネにマリーは詰め寄る。
「いい加減にしなさい!自分が何をしたのかわかってるでしょ。」
「わからないわよ!たった一回でも会ってはいけないのはなんでなのよ!」
「ッ……!そんなにわからないなら、自分の目で確かめなさいよ!」
言うや否や、マリーはヨハネの首根っこをひっつかむと、茜色に染まっていく空に向かって急上昇する。
「ちょっ……!マリーいたっ!」
前後不覚になるほどの激しい加重がヨハネを襲う。
数秒経って、ヨハネは空中で乱暴に突き放された。
「いきなり何す……ん…………」
ゲホゲホと咳き込み、涙が滲んだヨハネがうっすらと目を開け、今まで自分が立っていた山を見下ろすと──
「何よ……これ……?」
眼下に広がっていたのは、変わり果てた山の姿だった。
青々とした木々が並んでいた森は、まるで爆発でもあったかのように放射状に木々が黒く疎らになっている。
いや、そうじゃない。目を凝らすと、一つ一つの木々は全て立ち枯れていて、生命力が全く感じられない。
そして、その爆心地に位置していたのは──
花丸の家だった。
「いい加減、現実を見なさい。」
下の惨状から目を離すことができないヨハネにマリーの声が降り注ぐ。
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