63:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:17:57.71 ID:W5lmC8VA0
言うべきかどうか、少しだけ迷ったけれど、私は打ち明けることにした。
自らの境遇を。
「魔法使い……私のプロデューサーと、約束させられたの。
もし私が、今度のオーディションに合格したら、アイドルを続けなさいってね」
「……!」
藍子ちゃんは口をつぐみ、手を胸の前で握った。
それまで見たことが無いほどに、抑えきれない動揺を感じさせる姿だった。
「そ、そんな……負けちゃったら……?」
たった数回会っただけの私に、この子はこんなにも、親身に向き合ってくれている。
「ふふっ……藍子ちゃん、どう?
こんな事を聞かされたら、オーディション、私に勝たせてあげたくなっちゃった?」
「……いいえ」
しばしの沈黙の後、藍子ちゃんは小さく、しかしまるで自分にも言い聞かせるかのように、ハッキリと答えた。
「私も……頑張りたいから」
私は頷いた。
藍子ちゃんならきっと、そう答えてくれると思ったんだ。
「藍子ちゃんはさ……知ってた?」
「えっ?」
「キリンの首が長い理由……私もついさっき、知ったの」
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